過去開催の展覧会情報 2023

 
 

高須英輔展 -蘇生組積 無限∞-

 
 
 

「さくら・珠なす」

「さくら・珠なす」

(部分)

(部分)

 
「流氷」(部分)

(部分)

 熱海市在住の彫刻家・高須英輔(ひでほ)さんの展覧会を開催します。
 高須さんは、1983年より空間デザイナーとして建築関係の空間づくりに携わりながら、彫刻、彫刻的家具を発表。現在、建築意匠デザインを手掛け、レリーフ、屋外彫刻、モニュメントなどのコミッションワークを数多く制作しています。
 
 本展テーマの蘇生組積(そせいそせき)は、高須さんが1980年代から制作しているシリーズで、木材を鉈(なた)で割り、それを積んでいくことで、1つの塊が2つになり、2が4に、4が8に、16が32にのように、無限に広がり、新たな形に展開していく事象を表現した作品です。
 
 「本来の材が持つ歴史や物語、思いに寄り添い、自分のフィルターを通じて、今一度組みなおし、積みなおし、新たな造形にして未来に手渡す作業」と語るように、素材が持つ思いに着目し、高須さんのフィルターを通じて再構築され、アート作品として「蘇生」された作品は、後世へと受け継がれ、事象的にも心象的にも無限に展開されていきます。
 
 「作者の秘めたる願いは、菩薩の湧出である。人々が菩薩の心を持ち、限りなく善にあふれる世界であって欲しい。1の善が2の善に、4に、8に、32に、世界が平和であって欲しいと願う」と語る高須さん。
 
 本展は、多彩な蘇生組積シリーズの他に作品のデッサンなども展示し、高須さんの思いを感じられる展覧会となっています。

 
PHOTO 眞野敦

 
 

天然藍染 手絞りの世界 水口よお子展

 
 
 
「春光」(347×112cm) 第95回 国展 国画賞 2021年

「春光」(347×112cm) 第95回 国展 国画賞 2021年

「春光」(部分)

「春光」(部分)

 
「流氷」(部分)

「流氷」(部分)

「流氷」(350×118cm) 第87回 国展 新人賞 2013年

「流氷」(350×118cm) 第87回 国展 新人賞 2013年

「春宵」 第36回 静岡県工芸美術展 静岡県教育委員会教育長賞

「春宵」 第36回 静岡県工芸美術展 静岡県教育委員会教育長賞

「春宵」(部分)

「春宵」(部分)

 

 裾野市在住の藍染作家・水口よお子(みなくち)さんの個展を開催します。
 水口さんは、小学校の教諭をしていた50歳の時に訪れた藍染展で天然藍染の世界に魅せられ、教室を主宰する全国阿波藍染織作家協会会員の野口日出氏に師事。
 2001年の退職後、本格的に藍染を学ぶ。2003年から公募展に出品を始め、2009年に初出品、初入選した国画会主催「国展」には、連続12回入選。新人賞、国画賞を受賞。2021年準会員に推挙され、現在は、国展、全国阿波藍染織作家協会、静岡県工芸家協会や個展を中心に活動しています。
 水口さんは、阿波藍「すくも」を使用した天然藍灰汁発酵建て藍染(てんねんあいあくはっこうだて)と呼ばれる化学薬品を使わず、自然界から採れる原料のみを使用した、伝統的な技法で作品を制作しています。
 藍甕の管理、作品のデザイン、絞り、染めの工程を全て一人でこなす一方、畑で蓼藍(たであい)を育て、蓼藍生葉染も行います。
 水口さんの作品は、日本の風土や自然をテーマとし、藍色の濃淡や滲みで美の世界を表現しています。「藍染自体が自然そのもの。染め生地を手絞りし、後は藍の力によって作品が創られる。そこには、計り知れない自然の営みがあり、それが藍の魅力」と語る水口さん。本展では、国展の受賞、入選作品や静岡県芸術祭美術展、静岡県工芸展の受賞作品の他、額縁に入れた藍染作品や蓼藍生葉染作品などを展示する他、藍染の道具なども展示し、天然藍染の魅力が伝わるような展覧会となっています。
 
 
 

PHOTO 眞野敦
 
 

かまとと 福井 揚 展

 
洞窟怪獣 2020 フェルト、紙、チキンワイヤー、木材

洞窟怪獣 2020 フェルト、紙、チキンワイヤー、木材

 裾野市在住の造形作家、福井揚(よう)さんの個展を開催します。
 福井さんは、語学留学で渡ったアメリカで陶芸に出会い、その後、カンザスシティの美術大学で陶芸、ラスベガスの大学院では彫刻を専攻。卒業後は、ニューヨークなどで活動し、2013年、18年間滞在したアメリカから日本に帰国しました。
 
 現在は、裾野市の十里木高原にスタジオを構え、個展を中心に活動しています。
 福井さんは、パステルカラーでポップな彫刻陶芸、鮮やかな色彩のフェルト片を貼り合わせて作る立体作品など、多様な技法と素材で制作しています。
 
 幼少期は、父の創設した障がい者施設で利用者たちと共に生活。アメリカではアジア人がいない環境での暮らしなど、少数派の中から物事を見てきた福井さん。「優しさや可愛らしさは、自分を守るための強さ」と語り、作品にもそれを投影しています。
 一見すると可愛らしい作品には、視覚的な違和感を盛り込み、現代社会や文化、慣習をシニカルに表現。意味や意図をあえて捉えにくくすることで、混乱させ、作品の解釈を見る側に委ねています。
 
 今展では、彫刻陶芸やフェルトの造形作品を展示。展覧会のタイトル含め、既成概念にとらわれず、自分なりのストーリーを作り、解釈を楽しんでもらう展覧会となっています。

 
 
 
 
PHOTO 眞野敦

「海猫 たち」 シナベニア 、 アクリル 、 胡粉

「海猫 たち」 シナベニア 、 アクリル 、 胡粉

津久井智子の消しゴムはんこ これまでとこれから展
  
「マーガレット畑」 シナベニア、アクリル絵具、胡粉

「マーガレット畑」 シナベニア、アクリル絵具、胡粉

「Peacock」 ケント紙、アクリル、顔料インク

「Peacock」 ケント紙、アクリル、顔料インク

「Flower of Life」 ケント紙、アクリル、胡粉

「Flower of Life」 ケント紙、アクリル、胡粉

「Mimoza」ケント紙、アクリル

「Mimoza」ケント紙、アクリル

 
 熱海市在住の消しゴムはんこ作家、津久井智子さんの展覧会を開催します。
 メディア出演やイベント、ワークショップなどを通じて、消しゴムはんこブームのきっかけを作った津久井さん。近年は、商品デザインやイラスト提供、ホテルの内装や店舗の壁画制作、書籍の発売などで活躍しています。
 個展では、消しゴムはんこで描く絵画を「版描 はんびょう」と名付け、筆と消しゴムはんこを使い描くなど、アートとしての可能性を追求しています。
 本展では、今年作家活動20周年を迎えた津久井さんのこれまでの作品と版描で描かれた新作などを展示し、これからの作家活動に繋げていく展覧会となっています。
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
photo/眞野 敦

会場風景